12月11日(水)、4・5年生の「文化交流史」の授業において、シルクキュレーターの林久美子氏(instagram:@silkline_kumiko)を講師に迎え、「蚕からどのようにシルクが生まれるのか」をテーマにした出前授業を行いました。
授業では、絹の反物や繭、生糸、真綿などの実物に学生全員が触れながら、動画やスライドを用いて製糸の仕組みを学びました。さらに、糸の座繰り(繭から糸を引き出す作業)の実演を間近で見学し、学生も糸繰りに挑戦しました。座繰り器の動きをじっと観察し、その仕組みに興味を示す姿も見られました。
専門コースで学びを深める4・5年生の感想からは、それぞれの専門分野に基づいた視点の広がりが感じられます。
「蚕の糸は、フィブロインとセリシンという2種類のタンパク質で構成されていることを初めて知りました。セリシンをお湯で溶かすだけで硬い繭が柔らかい糸になるのは、化学的にとても興味深いです」
「座繰りの装置は、一見すると驚くほど単純な構造でしたが、糸同士を正確に交差させる仕組みは理にかなっていました。電力や複雑な制御を使わず、物理的な機構だけで効率的に布を織り上げる様子から、単純さの中に潜む機能美と、先人たちの技術と知恵の深さを肌で感じ、感銘を受けました」
「シルクは保温性、難燃性、吸湿性など多くの特性を持ち、人工繊維と比較しても優れていることを知りました。医療用縫合糸や力士のまわしに使われるほど強靭な素材だというのは意外でした」
日本経済の近代化のきっかけになったのが生糸の輸出です。この手業が機械化され、外貨を獲得して重工業発展の一助を担った歴史的背景を思うと、ものづくりを志す高専生がその歴史や文化を学ぶことは、大変意義深いものです。
「高級な布」「交易に用いられた」といった漠然としたイメージから一歩踏み込み、シルクは自然と人間の技術が融合して生まれる高度な素材であること、そして工業分野や先端技術への応用可能性を秘めていることを再発見する、貴重な学びの機会となりました。