令和6年8月11日(日)に、DNA鑑定の実験を行う公開講座を開催しました。今年は例年よりも少ない参加者の6名で、補助学生3名(高専1年生と専攻科生)の助けもあり、しっかりと実験操作を経験していただけたと思います。中学生対象にしては高度な内容ですが、参加した中学生は長時間にも関わらず集中力を維持して頑張ってくれました。
この公開講座では、映画やドラマでありそうな、事件現場に残された謎の物体をDNA鑑定で調べるという設定で実験を行いました。その謎の物体は、4種類の野菜のどれかであることがわかっているので、謎の物体を含めたそれらのDNAを増幅させて比較しました。
DNAの構造、複製のしくみ、タンパク質(酵素)との関係などの説明を挟みながら、DNAの抽出、PCR法によるDNAの増幅、電気泳動によるDNAの解析の実験をしました。特に、PCR法によるDNAの増幅の実験では、反応温度を繰り返し上下させる必要があり、その実験操作を参加者全員で交代しながら協力して行いました。通常は自動化された機器により行われるものですが、敢えて手作業で行うことで、目に見えない反応を頭の中でイメージしていただくようにしています。反応温度が高いため、夏には暑くて大変な作業ですが、印象に残ったと思います。
また、数 μL(マイクロリットル、1 μLは1 mLの1000分の1)といった微量の液を扱う作業も上手にこなしていました。最終的に得られた電気泳動の実験結果から、謎の物体の正体を推定することができました。
コロナ禍で、一般にPCRという言葉が知られるようになりましたが、実際に実験をしてみることで、さらに身近に感じていただけたと思います。この公開講座を通じて、生物のしくみや、それをうまく利用した技術を知って、学ぶことや経験することの楽しさを感じて、成長のきっかけになればと期待しています。